特集/コラム

【特集】2012-08-04

大丸東京店地下1階を増床、「ほっぺタウン」グランドオープンへ
〜お弁当ストリート、お肉の細道、デパチカスイーツ誕生〜

 大丸東京店は今秋10月5日(金)、「東京の“今”がそろった百貨店」をストアコンセプトに売り場面積をこれまでの1.4倍に拡大し、4万6000平方メートルの新店舗として第II期オープンする。


1日平均100万人以上が利用するという東京駅に隣接する立地を生かし、近隣・沿線などの居住者をはじめ、周辺に勤務するビジネスパーソン、出張・旅行での東京駅利用者など幅広い客層をターゲットに設定。同店の強みである「ギフト」「トラベル」「おみやげ」を強化・拡大し、新しい売り場作りで新たな顧客層の獲得を狙う。来店客数は30%増の年間入店者数3700万人を見込み、年間売上高は640億円を目指す。

中でも、8月22日(水)に先行開業するのが1階、地下1階の食品売り場「ほっぺタウン」。地下1階部分を増床し、「弁当・総菜」「スイーツ」「スペシャリティショップ」を拡充・強化する。「新・ほっぺタウン」について、大丸東京店新店第II期増床計画室の宗森耕二さんに話を聞いた。


大丸東京店は2007年11月、東京駅八重洲口の超高層ツインタワー「グラントウキョウ ノースタワー」へ移転した(=第I期オープン)。東京駅構内においては、JR東京駅八重洲北口へ移転したことになり、旧店舗から比べると営業面積の縮小を余儀なくされた。そこに競合となる駅ナカ「グランスタ」の登場が重なり、同店の強みとしてきた「お弁当・リカー」をより充実・強化させる必要性があった。

改装に当たっては、ただ出張・旅行客向けの「弁当とお土産の大丸」とした取り組みだけでなく、「百貨店としてのデパ地下」も強化させたいと東京駅周辺の利用客、東京駅沿線の商圏に向け新規顧客の取り込みを含め、3つの層に向けた「ほっぺタウン」の売り場作りが不可欠と考えたという。そこで、売り場作りのポイントとなるのが「弁当」「土産」「スペシャリティショップ」の強化。加えて付随する商品群を拡充し、偏りの無いバランスの取れた品ぞろえで3つの層をしっかり押さえていく狙いだ。

食品売り場で増床するのは1.4倍。増床部分も含め、その詳細を紹介する。

日本一のお弁当売り場を実現 都内屈指のスイーツ売り場に、デパチカスイーツ&デパイチスイーツ 百貨店初出店の個性的ショップスペシャリティゾーン登場



日本一の弁当売り場を実現

出張・旅行客を取り込むためには利便性の強い駅ナカに対抗し、大丸東京駅まで足を運んでもらうための策として3つのポイントを挙げた。1つ目は百貨店の良さである多くの品ぞろえの中から、専門性のあるものを選ぶ楽しさ「バリエーションの豊富さ」、2つ目は単品のカテゴリーを強くする「塊を作る、ゾーンを作る」、3つ目はそのゾーンを作るためにブランド・店を誘致するだけではなく、利用客のニーズを考慮した上で誰もが知っている商品・カテゴリーに特化し編集する「一歩先の商品作り」だという。

これらを踏まえ誕生するのが、「日本一」「都内一」の品ぞろえを目指す「弁当」売り場。売り場面積は1.5倍へ拡大する。
八重洲中央口地下通路と八重洲北口地下通路の間には計23店が軒を連ねる、全長約60メートルの「お弁当ストリート」が登場。老舗や名店の弁当や築地の新名物弁当、車中のおつまみに好適な総菜など、弁当から総菜までを取りそろえる。すぐ近くには、男性をメーンターゲットとし「肉」に特化した弁当ゾーン「お肉の細道」も新設。弁当を取り扱う売り場を計55店へと強化する。


「お肉の細道」は「鶏・牛・豚×調理法×名店」で構成。例えば、牛肉で有名、鶏肉で有名な誘致先の店がそのまま出店するのではなく、各店が名品・名物を使い大丸東京店限定の弁当・総菜を作るという。さらに店内厨房で調理する店を増やし、実演販売を強化。「香りの演出として、実演販売で肉を焼くことは購買欲につながる」とも。


新規出店
◆「ミート矢澤」ハンバーグ弁当






◆「ブラッカウズ」ハンバーガー







◆鶏肉の名店「玉ひで」が手掛ける「たまひで からっ鳥(と)」唐揚げ弁当
◆「韓カルビ 大雲(デウン)」韓国仕立ての豚カルビ重







◆「洋食や三代目 たいめいけん」メンチカツのまかない弁当
◆「牛たん かねざき」厚切り牛タン弁当







◆「叙々苑」焼肉弁当など


「お弁当ストリート」の有楽町側(南側)周辺には、出張・旅行客需要を狙い、弁当専門店の弁当を展開する。中心価格帯は1,000円〜1,500円が主流。ランチ・通勤需要には総菜も取り扱うブランドを展開する。中心価格帯は1,000円以下。


新規出店

◆仕出し弁当店「築地 青木」






◆仕出し弁当店「銀座 萌黄亭」







◆「味の浜藤」が手掛ける「築地 魚弁 味の浜藤」魚主体の弁当
(※築地の卵焼き、マグロの卸のマグロなど、築地の名物を盛り込む)
◆「ゑびすDaikoku」和総菜
◆「イーション」洋総菜など


「お弁当ストリート」の中程から展開する総菜では「おつまみ」を充実させる。個食ではなく、出張や単身赴任などシェアの高い男性顧客のニーズに応え、「職人の手による和のおつまみ、酒のアテになる」商品で、ポーションを小さく、価格も300円〜500円ほどを想定し、「男のおつまみ、男の総菜」を和洋中と100種類そろえた「百膳」を計画。弁当・総菜に合わせ購入しやすいよう、同店の強みであるリカー売り場を「トレインリカー」として増床部分(出口)にも設ける。


同売り場では、新しい試みにもチャレンジしていくという。
現在、地下1階に出店する築地市場まぐろ専門仲卸「鈴富」は、自身が手掛ける「すし富」とは別に、「鈴富」として総菜店を出店する。海産物の揚げ物など築地ならではの調達能力を生かした新しい魚総菜店となるが、ここでは卸「鈴富」が導入している最新の冷凍設備を利用し、刺し身の盛り合わせをドライアイスで保冷しながら「築地土産、東京土産」として提供する。「東京駅沿線や周辺のこだわりの刺し身を食べたいといったデーリーニーズに対応するだけではなく、スイーツだけではない手土産・ギフトの在り方も提案したい」と話す。





都内屈指のスイーツ売り場に、
デパチカスイーツ&デパイチスイーツ


JR東京駅八重洲北口へ移転した際、ファッション雑貨売り場だった1階をスイーツ売り場にしたことで「お土産の大丸」として認知され、売り上げも大きく伸びた。だが、売り場面積が縮小した分、商品バリエーションも縮小。さらに1階は天井が高いため厨房が作れないなど、利用客の満足度に対応できない部分もあったという。コンビニスイーツの台頭、駅ナカなど競合が増える中、今回の増床をきっかけに2フロアにまたがるものの地下にも「スイーツ売り場」を設ける。

増床のスイーツ売り場には、定番ショップから実演ショップ、これまで百貨店には出店していなかった地元で人気のショップなど22店を新たに導入した「デパチカスイーツ」が誕生。1階の「デパイチスイーツ」と合わせて計74店を展開し、百貨店ならではの「ギフト・土産」を強化。地下1階では弁当・総菜売り場同様に店内厨房を持つスイーツショップも展開し、「出来たてのスイーツ」を提供する。

洋菓子では都内で有名な名店を誘致し、デーリーな生菓子のほか、お持たせや手土産になる焼き菓子を核として入れていく。







注目は実演販売としての2店。一つは日本初出店となる、ベルギーワッフルの老舗「ダンドワ」。日本サイズのやや小さめにした本場のリエージュ風やブリュッセル風ワッフルを提供する。


もう一つはアップルパイが人気の「マミーズ・アン・スリール」で、こちらも焼きたてアップルパイを販売する。





新規出店
◆アンリ・シャルパンティエ
◆世田谷・三宿の「ラ・テール洋菓子店」の「ラ・テール・セゾン」
◆チョコレート専門店「ベル アメール」
◆フランス菓子「コロンバン」が手掛ける「クラシック・コロンバン」
◆東京ラスク
◆「東京ばな奈」の新商品(キリン柄生地にカラメルプリンソース)など

和菓子では、小規模経営ながら全国的に有名な東京の老舗和菓子店が出店し、デザインも環境も一緒に考え進めた。「デーリーで、東京土産で、お持たせで利用できる菓子」がキーワード。
注目の実演販売店では、浅草「おいもやさん興伸」が大学芋を提供するほか、自由が丘「黒船」が手掛ける大丸オリジナルブランド「八判鼓判」が登場し、小判型のどら焼きを提供する。


新規出店
◆上野「岡埜栄泉総本家」大福
◆日暮里「羽二重団子」
◆駒込「中里」揚げ最中






◆西巣鴨「土佐屋」芋ようかん








◆「浅くさ中村屋 花の辻」米菓など


「菓子を通じて『日本の四季』を楽しんでほしい」と新設する「シーズン スイーツ」コーナーでは、季節に合わせた1店を随時展開。秋には「恵那川上屋」のくりきんとんを、冬には「銀座 和光」のチョコレートショップを予定している。




百貨店初出店の個性的ショップスペシャリティゾーン登場 
(※10月5日オープン予定)
「弁当・総菜」カテゴリーにも入るもう一つのゾーンとして、ホットドッグやピザといった気軽に食べられる単品のスナックフードに焦点をあてる。通勤・通学または車内でのテークアウト商品で、ビールなどと一緒に食べることができるワンハンドフードの名店を集積したゾーンを企画。通行者数の多いJR東京駅八重洲北口地下通路に面した場所へ、日本初上陸のショップを含む、本場ニューヨークの名物アイテムを一堂に集結した「KG’s New York Deli」コーナーを誕生させ、大人のためのファストフードを提供する。日本初となる常設店が出そろい、同コーナーで買い回りできるのも特徴。


新規出店
◆NY・ミッドタウンのベーグル専門店「エッサベーグル」ベーグル
◆NYヤンキースのオフィシャルピザ「フェイマスファミリア」ピザ
◆NYの老舗ダイナー「ジュニアーズニューヨーク」パストラミサンド
◆NYのスープ専門店「オリジナルスープマン」スープ各種
◆全米ナンバーワンソーセージブランド「ジョンソンヴィル」ホットドックなど



JR東京駅八重洲北口地下通路に面した場所には、世界11カ国、日本では4店舗目となるキャンデーショップ「パパブブレ」も百貨店初の常設店を構える。店内には厨房を設け、キャンディー職人による実演販売も行う。

今回の増床計画で「今までの百貨店での発想ではなく、導線を考えつつ一つのゾーンを作り上げた売り場構成」を意識したという宗森さん。「弁当・総菜」「スイーツ」と、どのコーナーにも仕掛けをちりばめ、一つの商品をギフトに、トラベルに、土産に展開できる「複数の特徴を集結させられる商品作りを提案していくことが大切」という。


大丸東京店

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